るりは俯いて泣いている。
モールは切なそうな顔で泣くるりを見つめていた。
「るり、泣いたらわしまで悲しくなるだろ。大丈夫。会えなくなる訳じゃない。城での生活に慣れたら遊びにおいで」
そう言うとモールは立ち上がり、棚の中から大事そうに何かを取り出し、そしてるりの首にかけた。
それは真ん中に紫色の大きな宝石をあしらったペンダント。
宝石が妖しく光る。
「これは代々わしの家系に伝わるペンダントだ。お前さんにこれを授けよう」
「そ、そんな大事なもの・・・」
「わしには子供も孫いないから、お前さんが子供のようなものだ。このペンダントにはわしら一族の魔力が込められている。このペンダントも、きっとお前さんを守ってくれるはずだよ」
「モールさん・・・!」
「離れていても、お前さんを守ってやるから。安心して行っておいで」
るりはモールに抱きつき、声を上げて子供のように泣いた。
そんなるりをモールは背中を優しく撫でながら、包むように抱きしめている。
その光景は本当の親子、いや祖母と孫に見えた。