・・・許せん、あの女・・・。
この私があのような辱めを受けるとは。

フランはイライラしながら城へと向かっていた。
イラついているからか、乱暴な走りになっている。

そのスピードの中で思い出すのはルリの事。
ルリの事を思い出すたびに心の中が乱される。

それでも馬の乗りこなしは素晴らしいものであった。

城へ付き薬を城の侍従に渡すと、騎士団の控室へと戻った。
控室の中は休憩できるように椅子と長いテーブルが置いてあり、壁には出勤表などの仕事に関するものが掲示されている。


「お帰りフラン・・・って随分顔が怖いぞ」

部屋に入ってくるなりそう声を掛けたのはガリエルだ。
フランは乱暴にマントを剥ぐと、投げる様に机に置いた。


「ああ。少し不愉快な事があってね」

「少しって顔じゃないな、その顔は」