「この・・・色・・・」

「そう。瑠璃色と言うんだよな、ルリと同じ名前の色。遠征先の国でしか採る事の出来ない宝石、ラピスラズリだ」


ラピスラズリ。
瑠璃色の宝石。

私のいた地球を思い出させる、色。
闇夜が開ける間際の、紫がかった青。


「深く透き通った綺麗な色。そして、とても神秘的な・・・。まるで、ルリのようだ」


るりの瞳から、一筋の涙が流れた。

この世界に来て、自分の元いた世界を忘れた訳じゃない。
時には寂しくて、苦しくて戻りたいと思った事もある。

でも、もう戻る事はない。戻れない。


それでも、自分のいた世界を、地球を思い出させる何かが欲しかった。

それが、今、目の前にある。
そして、それを与えてくれる人が、愛する人だという事。

どれだけこの人は、私に幸せをくれるのだろう。
どれだけ・・・。