グレイの事は嫌いじゃない。好き。

でも、それは恋ではない。
私にとって、グレイはお兄ちゃんのような存在。
グレイの気持ちに答える事は出来ない。


「ごめんなさい・・・グレイ」

グレイは頬を覆う手をゆっくりと離した。

「いいんですよ。フィランドールとの戦いの時に気付きました。あなたが、誰を望んでいるのか」


「え・・・?」

「あなたは無意識に彼に助けを求めていたでしょう?あんなに沢山の人がいて、私達もいた中で、あなたは彼を求めていた。きっとそれが、あなたが想う、人」

「そう・・・なのかな・・・」

その答えにグレイはふふ、と笑う。

「気付いているのに、わからないふりをして。自分の気持ちに素直になる事ですよ」

そう言うと、るりの頭を軽く撫でた。


そう。

本当は気付いてる。
フランの事が好きだって事を。

だけど、なぜか好きになる事が怖いんだ。
それは祭りの時のグレイの言葉が引っかかってるから。




"好きになるだけ辛くなる。自分が馬鹿を見るだけですよ"