るりの顔から笑みが消える。
そして不安がどっと押し寄せた。

なんだかんだで助けてくれる大きな存在。
そんな存在がいなくなるなんて・・・。

今にも泣きそうな表情を浮かべるるりの頬を、グレイは両手で覆う。

「そんな顔をしないで、ルリ。行けなくなってしまいます。いつもの元気な笑顔を見せて」

「でも、でもグレイ。私、グレイがいないと・・・」

グレイはそんなことはない、と首を横に振る。

「大丈夫。あなたなら出来ます。きっと立派な魔法長として、この国の歴史に名を残す事が出来るでしょう。そんなあなたが私は羨ましい。そして愛おしい。本当はあなたも一緒に連れて行きたい。・・・でもそれは出来ない。あなたの心の中に、私はいないのですから」

「グレイ・・・」

「いつになるかわかりませんが、必ずこの国に戻ってきます。それまでこの国の魔法使いとしてこの国を守って下さい。ククルとレイモンドと3人で、力を合わせて。お願いします」


切ない表情を浮かべるグレイ。
その表情から、本当に自分の事を想っていたと気付く。

るりの心がきりり、と痛んだ。