「ルリ、少し外の空気を吸ってこよう。わしも付いていくから」

モールに促され、るりは部屋を出る。

蝋燭の明かりを頼りに城の渡り廊下を抜け、屋上へと出た。

空には満天の星空。
こんな光景は自分の世界では見たことがない。

「わ・・・・」

るりは思わず声をあげた。

数え切れない程の星空。
この星の中に自分の星も存在するのだろうか。


「ルリの世界でもこの夜空はあるのかい?」

「うん。私の世界では夜でも明るいから、こんなには見えないけど・・・」

るりはそう言うと、ただただ空を眺め続けた。

不思議と消えていく不安。
この星空に勇気付けられているようだ。

その時。



「ルリ!!!」

モールはとっさにるりの前に立つ。

ぶわっと生暖かい風が身体を通り抜けた。
そしていきなり現れた黒い影。