「フラン・・・泣いてるの?」


るりはグレイの腕を外し離れると、動かないフランの前に立つ。
そして流れた涙を拭う様に、左手を頬にあてた。

「・・・ごめんね?」

頬にあてられた手にフランの手が重なり、そしてるりの手を愛おしそうに握る。

こんなフランは見たことがない。

人目を憚らず涙を流すフランに、心が苦しくなるのを覚えた。
改めて自分の軽率な行動を後悔する。


「生きて帰ってきてくれて、本当に良かった。私はお前がいない人生など、考えられない。考えたくもない。それを考えただけで、自分の身体が切り刻まれるように痛く、苦しくなるんだ」

「ごめん。フラン。ごめん」


るりは自らフランの身体に顔を埋め、腕を回す。
こうしないといつまでも泣いていそうだったから。


埋めた先から香るフランの匂いと、体温。
なぜかそれが、とても居心地良くて安心する。