「ぐすっ・・モールさっ・・・」

「まずは城へ帰ろうか。話はそれからにしよう。ルリ、わしの身体を何があっても離すな。しっかりと掴まれ」
るりは涙を拭った後、モールの腕を掴んでしっかりと握った。


「それじゃあ行くよ」


モールは呪文を唱え始める。
すると目の前がぐにゃりと曲がって平衡感覚がおかしくなり、るりはぎゅっと固く目を瞑った。

なんともいえない気持ちの悪い感覚。
自分が真っ直ぐ立っているのか、横になっているのか、よくわからない。
強いて言えば眩暈がいきなり襲ったような感じだ。



その感覚が突然なくなり、どん、と足が地面に着く。
るりが目を開けると、そこはグレイの部屋。

目の前にはフランとグレイがいた。