「・・・誰・・・?」

るりは少し後ずさりながらその男に声を掛ける。

「・・・初めまして。私の名前はフィランドール・レッツィオ。昔あなたのように国を守る魔法使いとしてアルデハラ王国にいた人間ですよ」

そういうと、顔を隠していたローブのフードを脱いだ。
るりは現れたフィランドールの顔を見て動けなくなる。

血の様に赤い瞳。
整った顔なのだけれど、瞳の色とは正反対に、肌は血の気のない青白い色をしていた。

るりと同じ黒髪が、やけにその色を強調させる。


・・・生きている人間じゃない・・・!
まるで死んだ人みたいな・・・!


「・・・この顔に驚きましたか?私は魔力を少しでも取り戻そうと、魂を犠牲にした男」

フィランドールは手を自分の頬に当てる。
その手も青白く生気を感じない。