「ルリ、咲かせすぎだね」
裏の勝手口からモールが出てきて、女に声を掛けている。
あの女・・・ルリ、と言うのか・・・。
「まさか、こんなに咲くとは思わなかった・・・って!?」
ルリは私の存在に気付いたようで、驚いた表情でこちらを見ていた。
肩までの黒髪がやけに美しい。フランの心がトクンと高鳴る。
「おや、フラン殿。・・・ああ、いつものだね。ちょいと待ってておくれ」
そう言うと勝手口から家に入り、小瓶の入った袋を持ってきた。
「いつもありがとうございます。モール様。・・・この方は?」
「ああ、この子はルリ。最近わしの弟子として、一緒に住んでいるんだよ」
ルリは何も言わず銀色の物を大事そうに抱えながら、フランにペコリと頭を下げた。