その光景を見て泣く者。
笑顔になる者。

様々だった。


フランはるりから目を離すことが出来なくなり、ただじっとフルートを吹くるりを見つめている。
切ないような、愛しいようなそんな表情で。




やがて、曲はゆっくりと終わり、るりは静かにフルートを口元から離す。
するとホールの中は先程の薄暗さを取り戻し、招待客もまた夢から醒めた様な顔で、それぞれの場所で立っていた。




少しの静けさのあと、一斉に大きな歓声と拍手が沸き起こった。
久々に味わうこの感触に、るりは喜びを隠せず、涙を浮べながら深く一礼をした。