「ドレスなんて、コンサート以来よ。早く着て吹きたいな」

「コンサート?」

「あっちの世界ではお客さんに聴いて貰うだけの場があるの。そこでドレスを着て吹くのよ。あっちではもう少し地味なドレスだけどね。私、コンサートが一番好きだったの。綺麗なドレスを着て、演奏を聴いて貰う機会なんてそうそうないから」

「へえ、そんな場があるんだ。ルリが演奏している姿はさぞかし綺麗だろうね。明日が楽しみだよ」

その言葉にるりは反応してしまい、また心が高鳴る。

「き、綺麗かどうかはわからないけど、演奏は心に残るものになるはず。約束するわ」

「期待してるよ」

フランは相変わらず微笑んでいる。るりは堪らなくなって目を逸らしてしまう。

あ、あれ?
なんでこんなにドキドキしてるの?
どうして・・・?