この世界では楽器はひとつしかない。
ああ、だから「楽器」と言う言葉がないんだ。
とるりは思った。
「ルリの世界では、フルートを「楽器」と言うのか?」
「うん。厳密には音を奏でる事が出来る、物全体の総称の事を指すんだけどね。私の世界では、吹いたり、弾いたり、叩いたり、振ったり、沢山あるのよ」
「・・・へえ、面白いね。じゃあフルートはその中の一つなんだ。他の「楽器」も見てみたいものだね」
「身近なものでも、楽器にはなるのよ。知りたいなら後で教えてあげる。・・・それより、フェリウムを見たいんだけど、可能?」
「いいよ。ルリのお願いならなんでも聞くよ。案内する」
そう言うと、フランはルリをパーティーの開かれる城のホールへと案内した。