執務室の前に着く。


目の前の扉は普通の部屋の扉とは違い、精巧な彫刻が施してあった。
るりが扉をノックすると、扉の向こうから声が聞こえてくる。


「―――はい?」

「あの、るりですけど。フラン、いる?」


その声に反応して、扉の向こうからドタバタと大きな音がし、扉が開いた。

「ルリ!?」

るりが来ると思っていなかったのであろう、驚いた表情をしている。

「ごめん、忙しいときに。ちょっと聞きたいことがあって来たんだけど、大丈夫?」

「大丈夫もなにも・・・ルリのためなら仕事ぐらい。入って。話を聞くよ」

フランは嬉しそうな表情を浮べ、るりを部屋に招き入れる。

部屋に入ると、床に書類が散らばっている。
机の横には椅子が横に倒れていた。


「・・・なにこれ」

「い、いや、ちょっと慌ててしまってね」

フランは書類を纏めながら、そう話す。

そんなに慌てなくても・・・
と思いながらるりも書類の片づけを手伝った。