アラビア調のメロディーが部屋中を駆け巡る。

すると乱雑に置かれた本が一斉に空中に浮いて動き、本棚に綺麗に並び始めた。
足元に散らかっていた物も、ざあっと動いて綺麗に整頓され、床が見えるようになる。

グレンはるりの吹く姿とフルートの旋律に動けなくなり、声も出せない。
やがて曲が終わり、静かに口元からフルートを離した。

部屋は窓から光が入り、見違えるほど明るく綺麗になっていた。


「これは・・・!」


「頭でイメージしながら作った曲をフルートで吹くと、その通りになるみたいで。今回は部屋が散らかっているから、掃除をイメージして吹いてみたんですが・・・」

「凄い・・・!!こんな魔法があるとは・・・!」

グレイは立ち上がり、綺麗になった部屋を歩き回る。

どうやらるりの魔法にテンションが上がっているようだ。
声のトーンが高くなっている。

「殆ど実用的な魔法しか、今の所ないんですが・・・。他は食材が出たり、花を咲かせたり。・・・まあそんな所です」

グレイはるりの方を振り向くと、るりの身体を抱きしめた。


「ぎゃっ!!!!」


いきなりのハグにるりは変な言葉を出してしまう。

「君はとんでもない魔法使いだ!気に入った!もの凄く気に入った!もう私はお前の事を離さないよ!!」


まあ、女同士だし、いいか。
と思ったのるりだった。