保健室にはどうもいないみたいだし、1年生だと思ったんだけど、名前知らないし。
助けてくれたお礼、言えない……。
『あー!そうそう、その子!』
保健医は何かを思い出したかのように、自分のデスクの引き出しからある物を出した。
そのある物とは――生徒手帳だった。
『名前はこの中に書いてあると思うわよ。
これ、渡しておいてくれない?お礼言うつもりなんでしょ?だったらそのついでってことで』
私は『はい、わかりました!』と大きく頷いて、保健医から生徒手帳を受け取った。
生徒手帳を開いてみると、そこには“静野琉生”という名前と小さな証明写真が貼ってあった。
静野琉生……。
かっこいい名前。
その時私は初めて、
彼の名前と顔を知ったんだ。