新一年生かな?
真新しい制服を見て、そう思った。
一年生の中にこんな優しい子が入学してくるなんて。
『大丈夫じゃ、なさそうっすね』
私の顔色の悪さを見て、彼はそう呟いた。
すると彼は、『ちょっと我慢してくださいね』と言って、私を持ち上げた。
それは、女子なら誰もが夢見るお姫様だっこというやつで。
内心、どうしようどうしよう!お姫様だっこされてるよ!!と騒いでいたが、それを表に出せるほど元気はなかった。
もう気持ち悪くて、気分が悪すぎて、仕方なかった。
その時の私は、琉生くんの顔なんてほとんど見えていなかった。
見えていたのは、琉生くんの足元とか胸元らへんで。
きっと、その時の私には顔を上げる気力さえもなかったんだと思う。