琉生くんは、覚えてないのかな。
私と琉生くんの出会い……。
あれは、私が新一年生がやってくる入学式の日。
学校までの通学路の途中、私は気分が悪くなって、電柱に寄りかかりながらしゃがんでいた。
『や、やば……』
このままじゃ遅刻しちゃう。
通学路を通る生徒たちは、皆私を見て見ぬ振りしながら、通り過ぎていく。
『大丈夫かな、あれ』
『どうしたんだろう』
そんな声は聞こえてくるが、実際、誰も本気で心配していないんだろう。
声をかけてくる人なんて、一人もいなかった。
このまま家に引き返そうか。
いや、ここからだと学校の方が近い。