「ご飯、暖めましょうか?」

「あ―、うん」



私はすぐにお味噌汁を火にかけ、暖められるものはひとまとめにレンジを回す。
温まるのを待っている間にご飯をよそいテーブルに並べた。





「なんか、奥さんみたい」




そんな私の様子を見た結斗くんはしみじみとそう呟いた。
その言葉に、思わずがしっとレンジで温めていたお皿を握りしめてしまった。



「あつっ」



慌てて手を引くけれど、指先はじんじんと熱い。
なに、動揺しているんだろう・・・。



「なにしてんだ、バカ」



一ノ瀬くんが慌てた様子で私に駆け寄ると私の手首を掴み水道に引っ張る。
水をだし指先を濡らす。


ギリギリまで引っ付いた距離にドキドキしてしまう私は、不謹慎かもしれない。
一ノ瀬くんからは、微かにガソリンの匂いがする。
ああ、今日はガソリンスタンドの日か、なんて・・・。