もくもくとご飯を食べて、璃ちゃんに挨拶を済ませて…教室から出ようとおもった私の足元に、赤い色鉛筆が転がってきた。
(誰のかな?)
璃ちゃんに聞いたらわかると思うけど、もうすぐ授業始まるし。また後で聞こう。
そう考えた私は、ポケットにその色鉛筆を入れて自分の教室に戻った。
「はぁぁぁあああ〜〜〜っっ」
帰り道のど真ん中で大きなため息が隣から聞こえた。
「うーっ、早く夏休みなんないかなぁ。」
「でももうすこしだよ!テスト終わったんだし。」
だるそうに隣を歩く璃ちゃんを元気づけようとそう言ったけど、璃ちゃんはまた「はぁー」とため息をついた。
「あたしは色々大変なのよ。」
と、苦笑い混じりにそう言われた。
「そういえば璃ちゃんって一人暮らしなの?」
「んー、まぁそんな感じ。あ、ごめん祈んちこっちの方面だっけ。あたしこっちの坂登ったらすぐだから、ここでばいばいだね」
あれ?そこの坂登ったら家なんてあったっけ?まぁ来たばっかだしわからないけど。
そう思いながらも駆け足で帰る璃ちゃんを、手を振りながら見送った。
「あ」
色鉛筆のこと、璃ちゃんに聞くの忘れてた。
ポケットから取り出した色鉛筆を見て焦る。
(誰のかもわからない色鉛筆ずっと持ってるのも嫌だし。早く返さないと…。)
もし誰のものかわかったからといって祈はこの町に来たばかりだからその人の家なんてわからない。だから、訪ねて本人に渡すことができないのだ。
(だけど今の時間だったら学校にいるかもしれない。)
少しの希望を信じて、璃ちゃんが登っていったゆるやかな坂を駆け足で登っていった。
その様子を、並木の木の上で少女は見ていた。
「はぁ、はぁ、あれ?あっ、家、ある…!」
大きな屋敷を見つけで近づいたとき、後ろから気配がした。
「祈ちゃん?」
気配__声の主は澤井日向だった。
「え、なんで澤井くんがここに…?」
坂を登ってすぐの家なんてここしかない。周りに他の建物は見えなかった…ということはここが璃ちゃんの家で間違い無いはず。
なのに日向は片手にコンビニのものだと思われるビニール袋を持って敷地内に当たり前のように入っていた。そんなに仲良しなのかあの二人は。
「うーん困ったなァ。」
日向は空いていた片手を顎に当てて唸る。
そこで周囲を見渡した祈は何かに気がついた。
(いや違う。ここは)
「僕さ、あんまり」
凍りついたような鋭い瞳が祈を睨む。
祈は思わず後退りした。
「手荒な真似はしたく なかった んだけどね…」
その瞬間、祈の足元に力が入らなくなった。目眩がする。意識を失う!死の危機に近い感情を抱いたまま、祈は浅い眠りについた。
「…ふぅ。」
日向は眠った祈を抱きかかえてため息をついた。
「どうしてここがわかったんだ?」
そんな言葉は、眠りについた祈に聞こえる術はない。
(誰のかな?)
璃ちゃんに聞いたらわかると思うけど、もうすぐ授業始まるし。また後で聞こう。
そう考えた私は、ポケットにその色鉛筆を入れて自分の教室に戻った。
「はぁぁぁあああ〜〜〜っっ」
帰り道のど真ん中で大きなため息が隣から聞こえた。
「うーっ、早く夏休みなんないかなぁ。」
「でももうすこしだよ!テスト終わったんだし。」
だるそうに隣を歩く璃ちゃんを元気づけようとそう言ったけど、璃ちゃんはまた「はぁー」とため息をついた。
「あたしは色々大変なのよ。」
と、苦笑い混じりにそう言われた。
「そういえば璃ちゃんって一人暮らしなの?」
「んー、まぁそんな感じ。あ、ごめん祈んちこっちの方面だっけ。あたしこっちの坂登ったらすぐだから、ここでばいばいだね」
あれ?そこの坂登ったら家なんてあったっけ?まぁ来たばっかだしわからないけど。
そう思いながらも駆け足で帰る璃ちゃんを、手を振りながら見送った。
「あ」
色鉛筆のこと、璃ちゃんに聞くの忘れてた。
ポケットから取り出した色鉛筆を見て焦る。
(誰のかもわからない色鉛筆ずっと持ってるのも嫌だし。早く返さないと…。)
もし誰のものかわかったからといって祈はこの町に来たばかりだからその人の家なんてわからない。だから、訪ねて本人に渡すことができないのだ。
(だけど今の時間だったら学校にいるかもしれない。)
少しの希望を信じて、璃ちゃんが登っていったゆるやかな坂を駆け足で登っていった。
その様子を、並木の木の上で少女は見ていた。
「はぁ、はぁ、あれ?あっ、家、ある…!」
大きな屋敷を見つけで近づいたとき、後ろから気配がした。
「祈ちゃん?」
気配__声の主は澤井日向だった。
「え、なんで澤井くんがここに…?」
坂を登ってすぐの家なんてここしかない。周りに他の建物は見えなかった…ということはここが璃ちゃんの家で間違い無いはず。
なのに日向は片手にコンビニのものだと思われるビニール袋を持って敷地内に当たり前のように入っていた。そんなに仲良しなのかあの二人は。
「うーん困ったなァ。」
日向は空いていた片手を顎に当てて唸る。
そこで周囲を見渡した祈は何かに気がついた。
(いや違う。ここは)
「僕さ、あんまり」
凍りついたような鋭い瞳が祈を睨む。
祈は思わず後退りした。
「手荒な真似はしたく なかった んだけどね…」
その瞬間、祈の足元に力が入らなくなった。目眩がする。意識を失う!死の危機に近い感情を抱いたまま、祈は浅い眠りについた。
「…ふぅ。」
日向は眠った祈を抱きかかえてため息をついた。
「どうしてここがわかったんだ?」
そんな言葉は、眠りについた祈に聞こえる術はない。