「瑠華はほんとに写真部に入部するの?」





入部届を書いているあたしの隣で奈未が呟く。





「うん。写真部なんて青春!って感じじゃん?」





笑顔で返事をして手元に視線を戻す。
『ふーん?』そう言いながらあたしの背後に周り髪の毛を触り始める奈未。







小学生の頃からあたしのヘアアレンジは奈未の担当。
肩甲骨あたりまで伸びたライトブラウンのあたしの髪を奈未は楽しそうにいじっていた。





「奈未ー、俺部活いくから帰りは瑠華に送ってもらって」





開いた教室のドアから言って近付いてきたのは、あたしのもう一人の幼馴染み
西倉純(ニシクラ ジュン)。





「瑠華は写真部に入部するからわたし一人になっちゃうわー」




その奈未の言葉にあたしの机に置かれた書きかけの入部届けを見る純。





「お前写真部なんか入ってどうすんの」





「青春すんのよー」





奈未と同じような反応を締めす純もきっとあたしを心配してくれてるんだろうと思う。





中学の頃のあの苦い思い出を、2人はいつも隣で見てたから。





「わたしも写真部入ろうかな」





奈未が私の髪をアレンジし終わり、隣に戻ってきてそう言った。




「そうしたら帰りも一緒に帰れるしね」





あくまで自分のためと言い訳するようにそう言った奈未は本当に優しい。





「そうだな。奈未になんかあると怖いし瑠華と一緒なら安心だしな」





「じゃあ決まりだね」





そう言って自分の鞄から入部届を取り出した奈未はまだ純となにか話していた。