その日、鞠村紗織は
帰ってこなかった。
あたし達三組は
お陰様でせっかく
見つけた新しい遊びを
実行できずに
イライラしていた。
「紗織、まじ
逃げてんじゃねえよ」
「早くボコりたあい」
「菜央、ちゃんと
あたしらが懲らしめて
あげるからね!」
クラス中の人たちが
あたしに笑顔を
向けている_
[菜央の為に]
少し、胸が痛くなる。
なんでだろう‥
嬉しいハズなのに
なんか妙な気分。
モヤモヤしたまま
家に帰った_
最近は疲れていて
ベッドに潜って
すぐ寝てしまう。
「あたし、
ふられたんだ‥」
言葉に出してみたら
思ったよりも
悲しい響きだった。
涙が浮かび、
視界がぼやける。
― 許 さ な い
あの男もあの女も。
あたしの体と心、
なんだと思ってんのよ
復讐心が芽生えた。
あたしの顔はきっと
歪んでいただろう。