凛がふと筆箱を
漁り始めた。
―なにを
探してんのかな
「あったあった~!」
手に握っていたのは
コンパスだった、
一体なんで今
コンパス?
「ねえねえ、紗織
こういうのって
やっぱ痛いの~?」
紗織の席の前に立ち
腰を屈めて
顔を覗き込みながら
紗織にそう言うと
凛は持っていた
コンパスを大きく
振り上げた_
ドスっ_
「きゃああああっ!」
紗織の指と指の
間の机にコンパスの
針が刺さっていた
あたしは思わず
目を手で覆っていたが
安心して降ろした
「人の心は平気で
傷付けるくせに
こういうのは
痛いんだあ~?」
「あ‥
あっ‥、」
「はあ?何語?」
「ああああ~っ!」
紗織は席を立ち
走って教室から
出ていった_
つまりは
逃 げ た !