咲は奏と佐和に優しく笑みを浮かべ、そしてすぐにゆっくりと目を閉じ、

蛍人が何処にいるのかを小さな声で校舎に聞いた。


「あっ」


校舎から蛍人の居所を聞き出すことに成功したらしいが、目を開けた咲は何故か僅かに頬を赤く染めていた。


「湯浅君、普通科の方に告白されたようです。今こっちに来ます……でも」

「告白なんて、蛍人君モテモテだねえ……」

「でも、何なの?」


咲がやや不思議そうな顔をし、言葉を続けようとしたその時だった。


「あ、蛍人!」


ようやく立ち直ったのか、柚太と旭が扉を開けて立っている人物を目にした。

蛍人である。ただ……