「オレ、正直馬の方が良かったんですけどね。騎手になって揉み合いになるよりかは」


どうやら正解のようだ。溜息交じりのその言葉に、思わず反論していたのは柚太であった。


「俺なんてな……毎年馬なんだからな? 怪力だからって理由だけで。
学年さえ違わなければ交換してやりたいくらいだ……」


その声は旭同様不満に満ち溢れている。落ち込む2人にどう接すれば良いのか、咲は分からなかった。

佐和と奏にどうすれば良いのか目で訴えてみても、2人は無反応。

放っておけばそのうち元に戻るとでも言いたそうだ。


「そうだった。遅くなってごめんなさい。騎手とか決めるのが時間かかって……」

「そんな事情だったら仕方ないって、ね?」