「湯浅君は相手に何か言ってあげる事はないの?」

「えーと………………」

「ないなら無理しなくて良いよ」


その中央では蛍人が相手にかける言葉がなく詰まらせていた。

もし匡平なら無理にでも言わせようとしただろうが、沢谷は優しい言葉を蛍人にかける。

そう、無理して言わせる事はしなかったのだ。

それに不満を覚えたのか、陰で匡平が“無理にでも言わせろ”とまたどこからともなく出て来たカンペを沢谷に見せるが、


「理事長。今の司会進行は貴方じゃないです。俺のやり方でやらせて下さい。
今この場を仕切る権限があるのは俺なんですから。文句は言わせませんよ?」


ニコニコと笑いながら匡平に物申すその姿は、誰かに似ている。