歌い終えた後に見せた、黒河に対する旭のドヤ顔がそれを物語っている。


「聞かれる前に言っておきます。シロだと言う事を」

「……沢谷、よく遠山の十八番が分かったな」

「唯一まともに歌えるジャンルで尚且つ、1番自信のある曲だと前に本人が言っていたので。
無論、聞いたのはこれが初めてですが。驚きはしませんでした。アイツ、嘘は吐かないので」


沢谷と匡平のやり取りを聞いて初めて、旭は沢谷が匡平に自分が歌う歌を教えたんだと知る。

だがそれを知っても別に怒る事はなく、むしろ感謝していた。言葉でこそお礼は言わないものの。