「ああ、そういえばそうだったっけ。旭は唯一童謡だけはまともに歌えるんだった」


耳栓をし忘れた奏が思い出したかのようにポツリと言う。

その呟きを隣で聞いていた咲は目を輝かせ、“勝つ可能性ありますね!”と。

だがその言葉に対しての奏の反応は同じように喜んでいるようには見えず。


「この曲で勝負するとは……誰の単純さがうつったんだろう……」


半ば呆れた様子であった。どうやら旭は本気で価値を狙いに行ってしまったようだ。

恐らく生徒会同士の対決は既に関係なく、

自分の対戦相手である黒河だけは負かしたいんだろうと。