咲は思わず感動して目を潤ませていた。

他の生徒会メンバーとは別の場所で聞いていた奏も、やや驚きを隠せずにはいた。

予知した時、歌い出している姿は見えた物の。

旭の音痴っぷりが分かっているからか、自分からその予知を見る事を拒んだ。

その為、その先の歌声までは聞いていなかったのだ。


(幽霊が取り憑いちゃったって事かな? でなければ旭の歌は此処までいきなり上達もしないから)


耳を塞ごうとしていた手を完全に下ろし、奏はただ同級生であり仲良しな旭の歌声に聞き惚れていた。

それが幽霊の歌声であっても。