この1年で柚太の単純さがうつってしまったのか。

去年の旭ならば冷静に対応出来るこの挑発にも、ムキになって反論してしまう始末。


「お前……その言葉、後で後悔させてやるからな!」


これこそ正に自分の望んでいた言葉の応酬だった事に匡平はテンションをあげる。

すると特別科生徒会側である下手から、

まるで幽霊のように微塵の気配も感じさせずに、スッと沢谷が登場した。

ずっと匡平に呼ばれる事を待っていたのに、なかなか呼ばれないからと自ら出て来たのだった。


「あ、沢谷か?」

「そうですけど? うちのバカが取り憑かれないように見張るように、と貴方に命令されたので」


特になかなか自分を呼ばなかった匡平に対して、不満をぶつける事もなく。

沢谷はそのまま怒りに満ちた状態の旭を見つめ、それから……。