旭ではないと言う事実を理解していない大半の1年と3年の生徒はその歌声に感動し、

2年の生徒と生徒会メンバーはその歌声に驚きを隠せずにいた。

旭が歌う歌はいつも音程がずっと狂ったままで、合ったとしてもほんのわずかな時間だけ。

音楽の成績は毎回10段階で2。

1じゃないのはそれでも授業にしっかりと出ているからである。

そんな旭が心地の良い透き通ったアルトの歌声を披露しているのだ。


「み、耳押さえなくて良いのか……?」

「良いみたいですね……まるで誰かに捧げるかのような優しい歌ですね」