動揺してしまったせいか、出だしから歌うこの曲の最初の2文字を上手く歌えず。

彼女にとっては幸先が不安なスタートとなってしまった。

だがそのミスなんて気にならない位、咲の歌も宮代に負けない位に澄んだ歌声である。


「……さっちゃん、やるね。まさか今に自分の心境にあった歌をチョイスするなんて」


普通科生徒会側の席で咲の歌を聞いていた里緒は、感心するかのように咲の歌を聞き惚れていた。

咲が歌っている曲は片思いの恋の歌。その歌詞は結ばれそうで結ばれない。

でも最後にはやっと結ばれようとすると言う内容。今の咲には持って来い、な曲である。

ただ本人はそれを自覚しているのかどうかは定かではないが。