「咲ちゃんファイトー!!」

「落ち着いて歌えば何とかなるからなー」


彼らの声援も、ガチガチに緊張してしまった咲には届いてはいなかった。

歌おうと決めている曲はあるものの、

キチンと最後まで歌えるかと言われたら自信がない。

何度も何度も大きく深呼吸をし、ゆっくりと立ち上がる咲。

前に行こうとする咲の手を誰かが引き止めるかのように握る。

彼女の振り返った先にいたのは奏であった。