「さーて、早速対戦に入るとするか……あ、お前達は座れ」


立ったままの12人に対し、それぞれ両サイドに6つずつある席に着席するようにうながしたかと思えば。

匡平はどこからともなく取り出した2つ抽選箱にそれぞれ片手を突っ込む。

最初の出だしが肝心な事もあってか、どちらも比較的歌が上手い人間から出て欲しいと祈るばかり。

それぞれの箱から探りに探った匡平の手が掴んだのは……。


「普通科……副会長、宮代。特別科……会計、宮野。両者前へ」


選ばれてしまった当人以外はとりあえずまともな歌を歌うメンバーの選出に、安堵の息を漏らす。

選ばれてしまった副会長である普通科3年の宮代と咲。

まさか最初に自分達が歌う事になるとは思ってもいなかったに違いない。