「そういえば、さ。2人は何歌うの?」


佐和のそばにいたクラスメイトの女子が、

今までずっと気になっていたであろう質問を佐和達2人にぶつける。

その言葉に2人は“あ”と揃って口をポカンと開ける。

理事長が勝手に決めた事ばかりに落ち込んでいて、何を歌うかまでは2人は決めていなかった様子。


「もしかして、決めていないの?」

「うん。まさかこんな事になるとは思わなかったから。1番好きな曲にしようかなあ……」

「へえ、それは楽しみだな。で、古瀬君は?」

「いや……その…………」


佐和はまだ暢気な方である。だが柚太はやや深刻そうな顔をしていた。