だが柚太の訴えはやはり昨日の自分を見ているかのような反応をされてしまった為、

ある意味無駄となる。ほぼ全員が理事長の顔を知らないと言うのだ。

先程の卒業式の時も顔を出してはいたものの、ずっと人の話を延々と聞かされるだけの式。

理事長の紹介があったとは言え、F組からは理事長の座っている席は遠く。顔を上手く確認が出来ない位置にあった。

更には壇上に立って挨拶なんて事もしなかった事もあってか、

F組の生徒会2人を除いてほぼ全員誰も彼の顔を知らないと言う訳だ。


「そうだよな……俺達だって昨日顔を知ったんだから、当たり前の反応か……」


クラスメイト達の“誰?”と言わんばかりの不思議そうな表情やら、

“理事長ってどんな顔だった?”と聞きあいっこをするざわつきを聞いて、柚太は更に肩を落とした。