「郁ちゃんに代わってぇー……えいっ」


佐和が柚太にビンタをお見舞いする。

その叩いた音はよく響いたとまでは行かないが、周囲にいた人日をを立ち止らせるほどであった。

その音で郁人は佐和がいる事に気付く。


「ああ、佐和ちゃん。殺気立った気配があったから、黙ったままでいたんだけど……
佐和ちゃんだとは思わなかった。気付いたらそのままボーっとしちゃっていたみたいで、ごめんね?」

「うん。ワタシだよ? そんなことより郁ちゃん、大丈夫? ユズに何かされなかった?」

「いや、別に……って柚太?」


郁人が不思議そうに見つめるその近くでは、柚太が右頬を押さえて痛がっていた。