だがその表情は決して暗い物ではなく、柚太からすれば何故か明るく見える。


「……じゃあ、まだ僕にはチャンスがあるって事かな」

「は? 何それ、一体どういう事だよ!?」

「佐和ちゃんはね、君の事が好きだと思う。ううん、好きなんだよ。
そうでなければあんな事……なんて…………」


メリーゴーランドでの佐和の言葉を思い出したのか、突然郁人は言葉を詰まらせた。

明るい表情が一変してしまった事を柚太が気付かない訳もなく。

彼の両肩を持つや否や、彼を軽く前後にゆする。どういう事なのかを聞きながら。

だが、郁人は言葉を口にはしなかった。いや、出来なかったと言うべきだろう。