告白するタイミングは自分が決める物であって、間違っても第三者である里緒が決めるものではない。

そして告白が簡単に出来れば苦労はしないし、何故脅迫をされなければならないのだろうか。

そう分かっているはずなのに、郁人は外の寒さと相まって別の寒気を覚えた。

それだけ里緒のメールには、見えないはずの表情までもが見えてしまう力があるのだろう。

今、郁人の脳裏には里緒の鬼の面を被ったかのような表情が浮かんでいた。


(告白する前に、相手の気持ちが見えてしまった時はどうすれば良いんだって言うんだ……)


携帯を力強く握りしめ、俯く郁人。冷たい風は郁人の心にもじわりと染みて行った。