男の子のその言葉のせいで、すっかり忘れかけていたと言うのにまた思い出してしまい、郁人は赤面をする。


(……子供って時に酷な事を言うよな)


恥ずかしさのあまり手で顔を覆い、自分の顔が見えないようにするも時既に遅く。

その男の子の言葉が合図だったかのように、

次から次へと郁人を見ては何か噂をするようなざわつく声が彼の耳へと飛び込んで来た。


(……1人になりたくて2人を行かせたのに、これじゃあ意味ないじゃないか)


なかなか収まらないざわつきに、郁人は2人に早く帰って来て欲しいと力強く願うのであった。

落ち着くどころか、落ち着かなさが増すだけのこの空間。佐和に逃げないと言った以上、逃げる事も出来ず。