「痛いの辛いんでしょ!? だったら早く行かないと! ユズ手伝って!」

「おうよ!」

「え、ちょっと!? 待……!」


郁人を叱責したかと思えば、佐和は柚太に手伝って貰い郁人を半ば強制的に背負う。

柚太の道案内のもと、救護室へと直行する。

その光景は名物であるパレードと肩を並べるくらい、人々の注目を集めた。

集まる視線に柚太と佐和は全く気にしていなかったが、郁人は少しだけ気にしていた。

まさか女の子に背負われている姿を見られるなんて。彼はやや恥ずかしい気持ちであった。


「佐和ちゃん、本当お願いだから……歩けるから…………」


郁人の言葉も、夢中になって走る佐和には聞こえていなかった。