そんな事にも気付かずに、佐和は郁人の言葉を聞かずに勝手に話を先へと進めて行く。


「ユズ、力持ちでしょ? 最初の内は人気者だったんだ。でもやっぱり皆飽きちゃって。

ああ見えて昔はかなり人見知りだったせいもあってか、打ち解ける事も難しくてねえ。

だから郁ちゃんが転校して来て、大人しくしているユズに声をかけた時、ワタシ嬉しかったんだ。

ユズに、ワタシ以外のちゃんと友達って呼べる子が出来るんじゃないかって。

怪力なのが郁ちゃんにばれた時も“関係ない”って言ってくれた事、楽しそうに教えてくれたりしたっけ。

それがキッカケなんだよ? ユズがちょっとずつ前向きになって行ったのは。

そんなキッカケをくれた郁ちゃんと、どうしてこんな犬猿の仲になったのかが本当に不思議だけど、

それでも何だかんだで仲良しだよね。そうでなければ喧嘩だって出来ないし。

だから、ユズと仲良くなってくれて有難う。これからも仲良くしてあげてね?」