「はい、何が良いか分からなかったからお茶にしておいたよ。……少し休憩出来た?」

「まあな。風に当たったら少しはマシになった」


冬の澄んだ冷たい風が彼らの気分の悪さも少しは緩和をしてくれたようだ。

佐和から受け取ったお茶を再び座り、ゆっくりと飲みながら郁人は気持ちを必死に落ち着かせようとする。

時には何度も深呼吸をし、何度も何度も“落ち着け”と言い聞かせると……。


「ワタシ、ハンバーグ食べたい! 良いでしょ?」

「う、うん……」


真っ直ぐに目をキラキラ輝かせながらお願いをする佐和の言う事を、

郁人は拒む事もなくあっさりと受け入れるのであった。その光景に柚太はただ笑いを堪えていたという。