「しますよ? 遠山先輩も確実に」


咲は泣かないようにと声を出来るだけ小さくし、短く喋る。

奏もそれを分かっていたのか咲を泣かせないようにと、やや自分の感情を押し殺しながら淡々と話す。

その内容はそんなに淡々と語って良いような内容ではない物であった。


「あの時、1つだけ嘘を言ったんだ。旭に」


一呼吸おいて、奏は覚悟を決めたかのように彼の中では力強い声で言う。


「見た物がその通りにならなかった事がある。それはボクが1度だけ変えようとした時だよ」