そのまま奏はまだ咲がいるという事に気付かず。悩んだ挙句、咲はパシンと奏の両頬を軽く叩いた。

そこでやっと奏は旭ではなく咲がそこにいる事に気付いたのであった。


「あ、宮野さん。また来てくれたんだ」

「今日は私だけではありません。湯浅君も一緒です。電話がかかって来たみたいで今はいませんが……。
本当は生徒会の皆さんで来たかったのですが、古瀬先輩が熱を出してしまいまして。
遠山先輩と佐和さ……先輩が古瀬先輩のお見舞いに行きました」


思っていた以上に咲は落ち着いて話す事が出来ていた。

ゆっくりと身を起こし、話を聞く奏の顔色は6日前とは全く違い大分良くなっていた。