「…………ん」

「…………!?」


起きる気配を感じた咲は奏の方を見てみれば、寝ぼけ眼でぼんやりと自身を眺めている事に赤面する。

だが見つめられている奏は、まだそこにいるのが咲だという事を認識出来ていなかった。

何度も瞬きをしながら誰がそこにいるのかをのんびりと探り、出てきた答えは…………。


「あさ、ひ……? 何だ、来るなら言ってくれれば良かったのに……。
つい眠ってしまったじゃないか」

「えっと、その…………」


“宮野です”と、訂正するが寝ぼけたままの奏にはその言葉は届いていなかった。