「大丈夫、ではないですよね……そんな状態では」


近くにあった椅子に腰掛け、咲はやっと会話に繋がるような言葉を口にする事が出来た。

奏は小さく笑うと、その言葉に同意するかのように普段よりも小さく少しかすれたような声で言う。


「そうだね……でも、これでも一応楽にはなった方だよ」

「そうなのですか。…………と、ところで! 個室なんですね、先輩」


会話が続かなくなると必死になる咲は、何故かどうでもよさそうな事を思わず口走ってしまう。

言った後でなんて事を聞いてしまったのだろうと後悔するも、奏は少しさみしそうな表情をして見せる。

どうしてそんな表情をしたのか、咲には一瞬分からず。どう反応すればいいのか分からなかった。

だが次の言葉でその表情の理由を理解する事が出来たのであった。