(もしかして出て来てしまう……!?)


どうしようと焦る咲、ふと視線の先に見付けたのは数メートル先のトイレ。

咲はそこへ少しパニックになりながらも駆けこむ。

トイレからこっそりと出てくる人物を見た咲は、更に驚きを隠せずにいた。


(と、遠山先輩……! あれだけ行くなって言っておきながら……!)


頭を軽く掻きながら、困ったような顔をしている旭。

咲の存在に気付く事も、変な気配に不審がる事もなくそのまま恐らくは寮へと帰って行った。

それを見届けた後でこっそりと出て来た咲は、先程の会話での奏の声に別の戸惑いを感じた。