(つ、着いてしまいました……)


特別科生徒会の顧問でもあり、2年F組の担任でもある鴻島先生に、自分が行く事を黙っていて欲しいと強く念を押しつつ、

奏の入院先を聞き出し、学校を飛び出す。そして気付いた時には病院の中であった。咲はガチガチに緊張していた。

ちゃんと辿り着けないと言う事はないにしても、辿り着いたその後が不安でたまらなかった。

何を話せばいいのか、話せた所でキチンと会話が続くのかどうか。
色々な思考が咲の頭の中をグルグルと駆け巡る。ここまで来てしまった以上引き返す事も出来ない。

両頬を強く叩き、覚悟を決める。目指すは奏の元。1歩1歩、彼女からすれば力強く進む。

咲にとってはその辿り着くまでの時間が長く感じたのかもしれない。