「強いて言えば遠山が入学してくる前は俺が1番だったから。間違っても同情や憐れみとかではない」

「ぶっちゃけ、あんたが1番訳分からない。何事にも冷めた印象だから」

「俺はそこまで冷酷な人間じゃないってば」


沢谷は何も言わず旭の頭を再び撫でようとし、その手を止めた。

その視線の先にとある物があったからである。

“何故こんなタイミングに出て来るんだ”と言わんばかりに沢谷が盛大に溜息を吐くのを、

旭は不安そうに見つめる。自分が何か悪い事を言ってしまったんじゃないかと思ったのだろう。